犬の毛並みが悪くなったらドッグフードを見直してみよう

ドッグフードで毛並みが悪くなったら

「なんだか最近、愛犬の毛並みが悪い気がする…」

ふとわんちゃんを撫でてみて、何となくパサついていたり、艶がなくなっていたりして、そのように感じたことはないでしょうか。
病気でもないのに毛並みが悪くなってしまったら、何があったのかと心配になってしまいますよね。
毛並みが悪くなる原因は、お手入れ不足の可能性もありますが、実はドッグフードにあることが多いです。

後述する特徴を持つドッグフードを主食として与えていたら、「ドッグフードが原因かも?」と一度疑ってみてください。

与えているフードのチェックポイント

病気に罹っていないにも関わらずワンちゃんの毛並みが悪くなっていたら、まずは普段与えているドッグフードをチェックしてみましょう。

犬の毛並みを作り、整えるためには、十分な量の良質なタンパク質と脂質が必要になります。
そしてドッグフードの原材料表示を見れば、それらがきちんと含まれているかを知ることができます。
以下の特徴に該当している場合は、ドッグフードがワンちゃんの毛並みを悪くしている可能性が高いです。

タンパク質の量は十分か

たんぱく質は、被毛を作るのに必要不可欠な栄養素です。
食事として体内に取り込まれたタンパク質は、まずは内臓などの身体の内側を優先して吸収されます。
被毛は「外側」ですので、順番としては後回しになります。
そのためタンパク質の摂取量が足りないと、十分な量のたんぱく質が被毛まで行き届かず、毛並みが悪くなってしまうのです。

市販のドッグフードは公正競争規約により、犬が生きるうえで必要なタンパク質の量が設定されています。
総合栄養食のドッグフードの場合、「粗たんぱく質」の含有量は18.0%以上とされています。
この数値はあくまで、「生命活動に支障をきたさないための最低の値」ですので、タンパク質の含有率が18.0%のフードでは物足りないワンちゃんもいるでしょう。
ましてや犬は人と比べて、約4倍のタンパク質を必要とします。
常食させているドッグフードのタンパク質が少ないと感じたら、思い切ってフードを替えてみてもいいかもしれません。

穀物が大量に含まれていないか

犬にとって最も必要な栄養素は「動物性タンパク質」、つまりお肉です。
人に飼われるようになってからは雑食化が進み、「肉食寄りの雑食」と分類される犬ですが、もとはやはり肉食動物です。
植物性のものよりも、動物性のものを消化することを得意としています。

総合栄養食のドッグフードのの中には、炭水化物やタンパク源、またはかさ増しとして穀物を大量に使用しているものがあります。
穀物または植物性のものが全く不要というわけではありませんが、それでも多すぎるのは考え物です。

ワンちゃんの体質によっては穀物が主原料のドッグフードで消化不良を起こし、そのストレスで毛が抜けたり、毛づやが落ちてしまう子もいます。
また小麦やトウモロコシなどはアレルギーを引き起こしやすく、アレルギー症状として毛並みが悪くなってしまうこともあります。

原材料表示の先頭に穀物が書かれていれば、それは穀物を主原料とするドッグフードです。
愛犬の毛並みが悪くなってきたと感じたら、どの程度の穀物が使用されているのか、一度確認する必要があるでしょう。

植物性の油脂が含まれているか

タンパク質と、同じく被毛の健康維持に必要不可欠な脂質ですが、脂質の場合は植物性のものも重要になってきます。
毛並みを整えるのに効果的なオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸は、植物や魚由来の油に多く含まれています。
安価なドッグフードにはよく、「動物性油脂」とだけ表記された、何の動物のものかもわからない油が使用されています。(「チキンオイル」「ビーフオイル」などの具体的な肉の名前が書かれたものならば比較的安全です。)
しかしこれでは不十分で、毛づやの維持には植物性か魚の、できればオメガ3脂肪酸を含む油脂を使用しているものを与えるのが好ましいです。

魚の油脂で毛並みによいものとしては「サーモンオイル」、植物性のものでは「亜麻仁油」「オリーブオイル」「ごま油」などがあります。
これらの油は高価ですので、含まれているドッグフード自体はあまり多くないです。
愛犬の毛づやが気になる場合は、ドッグフードのトッピングとしてオリーブオイルやサーモンオイルなどをかけてあげてみてもいいかもしれません。
その際には、ドッグフードの量を少しだけ減らしてカロリーを調整してあげることが大切です。
これらの油は熱に弱く酸化しやすいため、保存方法にも気をつけましょう。

水分量は適切か

少し番外編、という形になりますが、適切な水分量も被毛の健康維持には大切です。
ウェットタイプのドッグフードを与えているのであれば比較的問題ありませんが、ドライタイプのドッグフードを与えている方は要注意です。

犬は人間と違い、水を飲みなさいと促したところで飲んでくれるわけではありませんし、喉が渇いたと訴えることもできません。
そのため、わんちゃんが水を飲みたいときにいつでも飲めるように、常に新鮮なお水を用意してあげるようにしましょう。
フードをぬるま湯でふやかしたり、出汁のスープなどをかけてあげれば、食べながら自然と水分補給ができます。
わんちゃんがあまり水を飲まないなと感じたら、試してみてもいいかもしれません。

まとめ

おもなチェックポイントは、以下の通りです。
愛犬の毛並みが悪いと感じたら、以下の項目をチェックしてみましょう。
該当箇所が多ければ、普段与えているドッグフードが原因かもしれません。

タンパク質の量は十分かどうか
タンパク質の量が少ないと、毛並みが悪くなってしまいます。
大量の穀物が含まれていないか
穀物は消化不良を促すことがあり、毛づやが落ちる可能性があります。
動物性油脂だけでなく、植物性のものも使用されているか
毛づやの維持には植物性または魚の油が効果的です。
水分をきちんと摂れているか
水分量が足りないと、毛並みが悪くなってしまいます。

毛並みが悪い犬におすすめのドッグフードのポイント

それでは、毛並みにトラブルを持つワンちゃんにぴったりなドッグフードにはどのような特徴があるでしょうか。
毛並みの荒れがひどい場合は、以下の項目に当てはまるドッグフードに替えてあげることをお勧めします。

高タンパクのドッグフード

わんちゃんの毛並みが悪くなる最も大きな要因は、「タンパク質不足」です。
低価格帯で販売されるドッグフードの多くは、タンパク質の含有量があまり多くありません。
通常のドッグフードのタンパク質含有率はおよそ20.0%~24.0%ほどですが、高タンパク質のドッグフードは含有率が28.0%以上、中には40.0%近くになるものもあります。
この数値だけでも、大きな違いがあることが分かると思います。
毛並みが悪いと感じたら、日頃与えているドッグフードのタンパク質量を調べてみてください。

また、タンパク源となる原材料の質も大切です。
穀物や4Dミートと呼ばれる肉が主なタンパク源として使用されているフードは、犬の身体に負担をかけ、毛並みを悪くすることがあります。
「チキン生肉」「ビーフ」などの具体的な種類や部位が記載されているものや、「ヒューマングレード(人も食べられる品質)」ランクのものが使用されているドッグフードを選ぶようにしましょう。

グレインフリーのドッグフード

グレインフリー、つまり穀物不使用であることも大きなポイントです。
穀物がすべて悪いとは限りませんし、適切な量の穀物は犬にとって必要なものでもあります。
しかし、穀物がコスト削減のためのかさ増し目的で使用されている場合は、「適切な量」でない可能性が高く、消化の妨げになります。

消化不良は毛並みを悪くする原因になりますし、健康な毛を作るために最も必要なのは動物性のタンパク質です。
毛並みが悪くなってきたと感じたら、穀物の割合が少ない、またはグレインフリーのドッグフードを選ぶとよいでしょう。

グレインフリーのドッグフードに関して詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
 →グレインフリーのドッグフードが良いといわれる理由と穀物の必要性

オメガ3脂肪酸を含むもの

タンパク質と同様、毛づやの維持には良質な脂質が不可欠ですが、中でも不飽和脂肪酸のひとつであるオメガ3脂肪酸は、毛並みの健康維持に大きなが効果が期待できます。

オメガ3脂肪酸はドッグフードの必須成分ではありませんので、通常フードにはほとんど含まれていません。
ドッグフードに含まれている場合は、原材料表示に「α-リノレン酸」「DHA(ドコサヘキサエン酸)」などと表記してあります。

ただでさえ不足しやすい成分ですので、オメガ3脂肪酸がドッグフードに含まれているというのは、大きな武器であるといえるでしょう。

脂肪酸について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
 →ドッグフードに含まれる脂肪酸の種類と特徴

わんちゃんの毛並みには、日頃食べるものが大きく関わっています。
毛並みが悪くなってきたと感じたら、まずはドッグフードの品質をチェックしてみてください。

とはいえ、毛並みの悪化した原因を素人が判断するのは難しいことです。
病気やアレルギーの場合は、いくらフードを改善してもよくならないことがあります。
様子がおかしいと感じたら、早めに獣医さんに相談するようにしましょう。

また、定期的なブラッシングやシャンプーも大切ですので、子犬のうちから慣れさせておくことが必要です。