カナダ産ドッグフードは安心?選び方にも注意しよう!

カナダ産のドッグフード

世界第2位という広大な国土を持つカナダは、日本とは趣の異なる美しい景観でも有名な国です。「雪をかぶった山々や青い湖を、一度はこの目で見てみたい」と憧れている人も多いのではないでしょうか。 カナダは風光明媚なだけでなく、農業大国としても有名であり、畜産や漁業も盛んです。そのため、新鮮で味の良い食材を安く入手することができます。 この恵まれた環境は、ドッグフード作りにおいても生かされており、世界的にも評判の良いフードも多く生産されています。 そんなカナダ産のドッグフードについて、みていくことにしましょう。

カナダは犬にとって暮らしやすい国

カナダの人口は、約3,515万人(2016年時点)と、日本の約4分の1ほどです。 その中の60%程度の人たちが、何かしらのペットを飼育しています。 最も多いのは猫で、飼育頭数は450万匹、そして犬の350万匹と続きます。 ペット飼育が可能な賃貸住宅は全体の半分ほどであり、「猫は飼育OKだが、犬はNG」というところが多いという事情も、猫人気の要因のひとつでしょう。 カナダでワンちゃんを飼っている人の大半は、自分の家を持っている人です。しかも、広い庭付きの家が多いため、大型犬の飼育が盛んです。 また、2018年現在では、柴犬の人気も高まっています。

カナダの住宅街です。広い庭の付いた家も多く、大型犬の飼育も容易です。カナダでは、ライフスタイルの変化とともに家を住み替える人が多く、一ヶ所に何十年も住み続けることはあまりありません。

日本では、動物をペットショップで購入することが一般的です。 対して、動物保護団体の活動が盛んなカナダでは、犬や猫を飼う際にも、保護団体から譲り受けたり、インターネットを利用した個人間での売買、ブリーダーから直接入手する方法などが浸透しています。 これには、カナダの人々の動物愛護精神の高さはもちろんですが、法律も関係しています。 カナダは州や都市によって独自の法律が設けられているため(その他に、全国に適用される「国としての」法律も存在します)、ペットに対する規制も地域によってさまざまです。 リッチモンドやトロント、バンクーバーなど一部の地域では、ペットショップでの犬・猫・ウサギなどの販売が禁止されているのです。 こうした都市のペットショップでは主に、鳥などの小動物や魚の生体、ペットグッズなどが売られています。

国全体としては、「動物に意図的に苦痛を与えたり、傷を負わせるなどしてはならない」という内容の法律が定められています。 日本でも度々問題となる、「炎天下の車内に、ペットを置き去りにして買い物に行く」行為などは、犯罪として罰せられるケースさえあるのです。 こうした現場を見かけると、警察に通報したり、飼い主を叱りつける人も多く、国民の動物愛護に対する意識が高いことが分かります。

ペットの生存の権利が大切にされているカナダでは、ワンちゃんを飼った際に居住地への登録が義務付けられています。 登録時には個別の番号が発行され、それが記されたタグを愛犬に付けさせることで、その子が迷子になった際などに、番号からどこで飼われているのかを追跡できるようになっています。

休日には愛犬と一緒にスキーをしたり、サイクリングをするなど、ワンちゃん同伴でレジャーを楽しむことも多いカナダ人にとって、犬は家族の一員です。 もちろん、病院やトリミングサロン、ペットシッター、しつけ教室など、ペット関連の産業も盛んです。 ただし、病院代は非常に高額になるため、ペット保険に加入している飼い主さんがたくさんいます。 また、日本人として驚きなのは、犬のデイケアではないでしょうか。 カナダでは、ワンちゃんを1日中預かって面倒をみるデイケアも存在します。 日中仕事で家を空けがちな飼い主さんに重宝されているようで、利用料も決して安くはないにも関わらず、多くの人が利用しているということです。 このようなところにも、カナダの人々の「犬はペットではなく家族である」という思想が伺えます。

カナダ産ドッグフードの特徴

カナダ人は健康意識が高く、自分だけでなく愛犬の健康や食事にもこだわりを持っている人が大勢います。 そのため、各ペットフードメーカーも、素材の品質や安全性にこだわったフードを生産する傾向があるのです。 カナダ産ドッグフードに多くみられる特徴をいくつかご紹介していきたいと思います。

新鮮な原材料を使用している

カナダののどかな農村地帯です。広大な農地を持つカナダですが、その割合はなんと国土の6%程度に過ぎません。

カナダでは、国内産の良質な野菜や果物、肉類や魚などが手に入りやすく、新鮮な状態のままフードに加工できるのです。 湖や河川、森林地帯、山の多いカナダの国土は、全体的にみると決して農耕に適した土地が多いわけではありません。 カナダの土地の中で、農地や牧草地として使用されているのは、およそ6%程度にすぎませんが、ロシアに次いで世界第2位の面積(日本の約26.4倍)を誇る国土の広さがそれをカバーしています。 カナダの農用地はおよそ653,460平方キロメートルであり、日本の農用地(約45,490平方キロメートル)の14倍以上の広さがあるのです。 小麦やトウモロコシ、大麦、菜種などの栽培が盛んであり、特にカナダ産の小麦から作られた小麦粉はグルテン(※1)の含有量が多く、美味しいパンが焼けると評判です。

※1 グルテン・・・小麦に含まれるグリアジンやグルテニンといったタンパク質類と、水分が混ざり合うことによって形成されるタンパク質です。粘り気や弾力性を持ち、パンやうどん、パスタなどのモチモチとした食感やコシを生みだします。大まかに、小麦などの穀類に含まれるタンパク質そのものを指す言葉として用いられることもあります。

カナダは畜産業も盛んであり、日本にも多くの豚肉を輸出しています。 太平洋、大西洋、北極海という3つの海に面した国土を持ち、さらに、環境汚染の少ない地域に美しい湖が多くあるため、新鮮な魚を捕ることもできます。 カナダは食品の輸出量が非常に多い国です。 安全な食品を海外へと送り出すことは、カナダ産食材への信頼を高め、更なる利益へと繋がります。加えて、カナダ国民は食の安全性に高い関心を持っています。 カナダが食品の生産方法から保管、流通にいたるまで、厳しい規制やチェック体制を敷いている背景には、こうした理由もあるのでしょう。 例えば、カナダの海で捕れた魚は、いつどこで水揚げされたものかが分かるように管理されているといいます。 また、魚の種類に応じて、「この魚は、全体の〇割までしか捕ってはいけない」と、厳格な制限を設けることにより、生態系の保護と漁業を両立しています。

カナダ・アルバータ州の絶景です。カナダには、こうした美しくクリーンな湖が多く存在し、さまざまな魚が生息しています。

カナダで生産が盛んな小麦やトウモロコシ、肉類、魚などはいずれもドッグフードに頻繁に使用される食材です。 国内で良質な食材が手に入るため、近隣で採れた素材をその日のうちにフード工場に運搬し、フレッシュなうちに加工することができます。 そのため、素材の長距離輸送・長期保管の必要性がなく、冷凍による品質や味の低下、保存料の使用などの懸念も少ないのです。 新鮮な素材から作られたドッグフードは、当然香りや味も良く、ワンちゃんの食い付きもアップすることでしょう。

カナダの人たちの地産地消(地元で生産された食品を地元で消費すること)の精神は、100マイルダイエットと呼ばれる活動にも表れています。 100マイルダイエットとは、「自らの居住地から半径160km(=100マイル)圏内で生産された食品を食べましょう」という運動のことです。 新鮮でおいしい食品が食べられるため消費者も嬉しく、また、食材の輸送時にまき散らされるトラックの排気ガスなどによる環境汚染も防げるという一石二鳥の運動ですが、食料自給率の高いカナダであるからこそ可能という側面もあるでしょう。

素材の安全性にこだわっている

健康に気を遣うカナダの人たちは、無添加やオーガニック食品、遺伝子組み換え原料の不使用など、安全性にもこだわりを持ちます。 オーガニック食品などのいわゆる健康食品は、日本では小規模な店舗やネット上での販売などが中心ですが、カナダではチェーン店が存在するほどポピュラーな存在です。

カナダ人の健康へのこだわりは、家族であるワンちゃんたちの口に入るドッグフードにも生かされています。 抗生物質やホルモン剤の投与がされていない肉類や、広々とした環境で放し飼いにされた鶏の卵や肉などを使用した製品が多いのも、カナダ産フードの特徴のひとつです。 ドッグフードには、人間の食用基準から外れた粗悪な原材料が使われることも多いですが、カナダ産のドッグフードには、私たちの口に入る食品以上に安全性に優れた素材が使われていることも珍しくありません。

例えば、ミールといえば、粗悪な原材料の代表格のようなイメージが定着しています。 確かにドッグフードに使用されるミールの中には、「副産物」と呼ばれる、家畜の骨や血液、(食用に適さない)内蔵、鶏の羽毛、頭部、脚など、一般的に食用には向かない部位を粉砕したものも多いです。 しかし、安全な素材を使用したミールは、乾燥し濃縮されているため栄養価が高く、効率の良いタンパク質源となるのです。 カナダ産のドッグフードには、人が食べることのできる肉類や魚を粉末化した高品質なミールを使ったものもあります。 ミール全てが粗悪品というわけではなく、警戒すべきなのは「栄養価の期待できない、食用に向かない部位」を使用したミールです。 安全で栄養価の高い原料で作られたミールを使用しているドッグフードには、「当社のミールには、副産物は含まれておりません」といった旨が明記されていることが多いため、チェックしてみましょう。

また、安全性の高い生肉(ワンちゃん用)が、一般的なスーパーの店頭にも並んでいるというのは、日本人からすると大変な驚きです。 肉の種類も、牛肉などポピュラーなものから、イノシシやバッファローなど多岐にわたります。 日本では滅多にお目にかかれないような種類の生肉を食べているワンちゃんもたくさんいるのです。 ちなみに、カナダでは、ペット用のオーガニック専門店も存在します。

用途に応じた商品ラインナップが豊富

カナダ産ドッグフードの中は、どれを選んだらよいのか迷ってしまうほどに、種類が豊富です(ただし、全てのカナダ産ドッグフードが日本で手に入るわけではありません)。 子犬や妊娠・授乳期の母犬の摂取に適した、各種栄養素やエネルギー量が高めのフードから、成犬用、シニア犬用はもちろんのこと、それぞれのステージ用に大型犬用・小型犬用が用意されていることもあります。 当然、体重が気になるワンちゃん向けの低カロリーフードも販売されています。

鶏肉や牛肉、豚肉など、メジャーなタンパク質源以外の肉類(羊やバイソン、イノシシ、ウサギなど)を使ったフードの種類が豊富なところは、自然が豊かなカナダならではです。 また、犬の先祖とされるオオカミや、野生下の犬の食事の栄養バランスに近付けた、穀物不使用(グレインフリー)のフード(※2)、植物由来のタンパク質を含まないグルテンフリーのフードなども売られています。 さまざまなタンパク質源や、グレインフリー、グルテンフリーのフードが選べることは、愛犬の食物アレルギーに悩む飼い主さんたちにとっては嬉しいことです。 好き嫌いの多いワンちゃんの好みに合うフードも見つかりやすいでしょう。 もちろん、犬本来の食性にこだわる飼い主さんからの評価も高く、良質なフードとして日本で親しまれているカナダ産フードも多く存在します。

※2 ワンちゃんの体にとって、ある程度の量の動物性タンパク質が必要なことは疑いようのない事実です。しかし、穀物類不使用(グレインフリー)や、平均よりも高タンパク質のドッグフードに関しては、専門家や飼い主さんたちの間でも賛否が分かれているのが現状です(この記事は2018年4月に書かれたものです)。 腎臓や肝臓に重い障害を持つワンちゃんに高タンパク食を与える行為は、臓器への負担が大きいという話は有名です。 しかし健康な成犬においても、「雑食寄りといえ、犬の本来の食性は肉食であるため、穀類は不要である」とする意見から、「穀類が体質に合わない子(アレルギーや消化不良など)は仕方ないが、せっかくの雑食性を維持するためにも、また、犬の体のためにも多少の穀物摂取は必要だ」という意見など、さまざまな考え方があります。 犬の体と食事や栄養素との関係性はまだまだ研究途中であり、全てが解明されてはいません。現段階では、飼い主である私たちが、愛犬の体調をチェックしつつ、どのようなフードが合っているかを判断していくことが大切です。

原産国以外にもフードをきちんとチェックする

カナダ産のドッグフードに良質なものが多いことは確かではありますが、全てのフードが安心安全かといえば、必ずしもそうとは限りません。 カナダ産ドッグフードと聞くと、2007年に起こった「メラミン混入ペットフードによる中毒事件」を思い出す方も多いのではないでしょうか。 この事件は、「メラミン」という有機化合物が、ペットフードの原材料となる小麦グルテンやライスプロテインというタンパク質源に混入されていたことが原因で起こりました。 メラミンと、メラミン由来のシアヌル酸という化合物が反応し合うことにより、ワンちゃんや猫ちゃんの腎臓などに結石を形成、それが原因で体調を崩す子や腎不全を発症して亡くなる子が世界中で続出したのです。 原料となったタンパク質類は、中国で生産されたものであり、業者がタンパク質量を多く見せかける(※3)ために意図的にメラミンを混入させていたという事実が発覚します。 この事件の元凶は、中国産のメラミン入り原料でしたが、それを使用してペットフード製造を行っていたのは、カナダにある工場だったのです。 この工場は、世界各国のペットフードメーカーから委託を受けて、さまざまなブランドのフードを作っていました。 「メラミン入りペットフード」の事件に関する詳細は、こちらの記事をお読みください。→中国産ドッグフードが危険といわれる理由

※3 メラミンには、窒素が多く含有されています。食品のタンパク質量を測定する際には、窒素量を測り、そこから計算しておおよそのタンパク質量を求めていく方法が一般的です。そのため、窒素が豊富なメラミンを混入させることにより、数字の上では「タンパク質量の多い、質の良い原材料」であると見せかけることができるのです。

つまり、「原産国:カナダ」という表示は、「原材料もカナダで生産されたものを使っていますよ」ということとイコールではありません。 極端にいえば、カナダ産のフードであっても、カナダで採れた食材がひとつも入っていないという可能性もあり得るというわけです。 また、どこの国でも同様ですが、カナダで生産された全ての食材が優良であるとも限りません。

「カナダ産」という言葉を過信せず、

  • どこの原材料を使っているか
  • 人間の食用に適した素材が使われているか
  • 安全性が問題視されている添加物は入っていないか
  • 栄養バランスが愛犬の状態に合っているか
  • 愛犬のアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)となる素材はないか
  • フードメーカーはどのような理念を掲げているか

といったさまざまな事柄をチェックしてから購入することが大切です。

特に、原材料の生産国に関してはパッケージ表示されていないことも多いですが、メーカーのWebサイト、店頭の掲示やリーフレットなどに書いてあることもあります。 特に、素材に自信を持っているメーカーであれば、良質な原材料はセールスポイントとなるため、「〇〇国のオーガニック原料を使用しています」などと堂々と公表していることもあるでしょう。原材料についてどうしても不安な場合には、メーカーに電話で問い合わせをするのもよい方法です。

まとめ

カナダのペット事情やカナダ産のドッグフードの特徴、原産国だけにこだわることへのリスクなどについてみてきました。 カナダ産のフードだからといって、全てのドッグフードが信頼できる品質であるというわけではないでしょう。 しかし、カナダのドッグフードが日本を始め、動物愛護先進国といわれるヨーロッパ各国やアメリカなどでも高い評価を受けていることは事実です。 広大な国土や汚染の少ない湖など、食材の生産に適した環境を有しているばかりでなく、人々の食の安全性に対する意識の高さ、それに答えようとする各メーカーの企業努力など、さまざまな要因が重なることで、カナダは世界的に評価されるフードを多く生み出すことができたと考えられます。