ドッグフードの原材料「鹿(ベニソン)」の栄養素は?保存には注意!

ドッグフードの原材料「鹿(ベニソン)」

野生の獣や鳥の肉を意味するフランス語を用いた「ジビエ」料理において、「美容に良い」「健康的だ」と人気を集めている食材が鹿肉(ベニソン)です。 人間にも大好評のこの鹿肉は、ワンちゃんにとってもメリットの多い、栄養価に優れた食材として数多くのドッグフードのタンパク源として使われています。 そんな鹿肉(ベニソン)に含まれる栄養成分や、どのような犬と相性が良いのかなどについてみていきましょう。

鹿肉(ベニソン)とは

鹿肉(ベニソン)の概要

鹿肉は英語で「venison(ベニソン/ヴェニソン)」と呼ばれ、「狩りの獲物」を意味するラテン語が由来となっています。現在はベニソンといえば鹿の肉のみを指しますが、14世紀までは全ての動物の肉がベニソンと呼ばれていたということです。

鹿肉は日本でも高級で栄養価の高い肉として、古くから人々に親しまれてきました。鹿肉を表す「紅葉(モミジ)」という別名は花札の絵柄が語源ですが、肉食が禁じられていたお寺の僧侶たちがよく用いた言葉でした。 「紅葉鍋」などという言葉からも分かる通り、鹿肉は鍋物として広く食されてきました。 国別の鹿肉消費量はドイツがトップで、日本と同じように高級品として愛されています。

鹿肉の調達方法は野生の鹿を捕獲する場合と、人の手で飼育する場合とに分けられます。鹿を飼育している国には日本や韓国、ニュージーランドやアメリカなどが挙げられます。

鹿肉(ベニソン)の栄養素

鹿肉(ベニソン)は高タンパクですが脂肪とカロリーは低く、アレルギーの原因にもなりにくいという数々のメリットのある食材です。 タンパク質は牛肉の2倍、脂質は10分の1以下となっていますので、肥満の心配をせずに良質なタンパク質をたっぷりと摂ることができます。ワンちゃんは多くのタンパク質を必要とするため、鹿肉は犬にとって相性のよい食材だといえるでしょう。

また、鹿は牛や豚に比べて体温が高いため、その肉は細菌や寄生虫が生息しにくく、非常にクリーンです。したがって、愛犬に生肉を与えたいと考えている飼い主さんにもオススメできる素材となっています。 ただし生肉を購入する際には、衛生的に処理され食中毒の発生確率の低い、「犬用の生肉」を選ぶことが大切です。

この他にも鹿肉は、優れた栄養素を併せ持っています。

ヘム鉄

鹿肉は他の動物の肉よりも赤みが強く濃い色をしていますが、これは豊富に含まれている鉄分に由来するものです。 鉄分には動物性食品に多く含まれているヘム鉄と、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄の2種類があります。 当然鹿肉は動物性食品なので、ヘム鉄を多く含みます。このヘム鉄は吸収性に優れており、鉄分を効率的に補うことができるのです。

トリプトファン

鹿の内臓にはトリプトファンが含まれています。 アミノ酸の一種であるトリプトファンは、脳内の神経伝達物質のひとつであり、精神安定効果を持つセロトニンの材料となります。 トリプトファンが不足してセロトニンが満足に作られなくなってしまうと、食欲減退に伴う体重の減少や、ワンちゃんの性格が攻撃的になるなどの症状が現れることがあります。

また、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンを作るにはセロトニンが必要です。 すなわち、トリプトファンが足りずにセロトニン不足となると、必然的にメラトニンも足りなくなり良質な睡眠がとれなくなる可能性が出てきます。 愛犬の睡眠リズムが乱れたり熟睡できなくなると、免疫力の低下やうつ状態などの精神の不調、夜中に起きだして吠えるなどの問題行動に発展することも考えられます。 トリプトファンはワンちゃんの心身の健康にとって、とても大切な栄養素なのです。

DHA(ドコサヘキサエン酸)

通常は青魚の油に入っていることの多い DHA(ドコサヘキサエン酸)ですが、鹿肉にもしっかりと含まれています。これは肉類の中では珍しいことです。 DHAには脳や神経の機能を高める働きがあり、情報伝達をスムーズにすることにより痴呆予防の効果が期待されています。 その他にも、糖尿病や高血圧などの生活習慣病や中性脂肪の減少、犬の皮膚や被毛を良好に保つ働きや、視力の回復にも役立ちます。

リノール酸(オメガ6系脂肪酸)

リノール酸は、植物油に多く含まれている必須脂肪酸です。 犬の体内ではリノール酸を作り出すことができず、食べ物から取り入れなければならない栄養素となるため、「必須」脂肪酸と呼ばれます。 鹿肉はこのリノール酸までをもカバーしているのです。

リノール酸は皮膚の乾燥を防ぎ、外部刺激から肌を保護する役割を持ちます。また、亜鉛と一緒に摂取することにより、被毛の状態を美しく改善する働きもあります。 リノール酸不足になると皮膚のカサつきやフケの増加がみられたり、被毛がパサついてツヤがなくなったり、深刻なケースでは毛が抜けるなどの症状も出てきます。

鹿肉(ベニソン)が適している犬

鹿肉(ベニソン)は低アレルゲン(アレルギーの原因になりにくい)で、総合栄養食と呼んでもよい程に栄養バランスが優れている食材ですので、さまざまな犬に安心して与えることができます。 その中でも、特に鹿肉をオススメしたい犬は以下の通りです。

肥満が気になる犬

含有する脂肪の量が少なくヘルシーな鹿肉は、肥満気味の愛犬や、病気によりダイエットの必要性のあるワンちゃんたちにはとても適した素材です。 鹿肉は脂質が低いために、更なる体重増加の心配が少ないです。同時に豊富なタンパク質を補給することによって筋肉を付け、ダイエット後に再び太ってしまうという事態も防ぐことができます。 また、フードの食べ過ぎによって肥満になってしまったワンちゃんの場合、糖尿病や中性脂肪の増加も気になるところですが、鹿肉に含まれる DHAにはこれらを防いでくれる働きもあるのです。

活発に運動を行うワンちゃん

アジリティーやフリスビー競技などで活発に動いているワンちゃんや、普段から運動量が多く活動的なワンちゃんにも鹿肉は適しています。 鹿肉の豊富なタンパク質と運動の相乗効果によって、良質な筋肉を作ることが期待できます。

シニア犬

シニア犬になると、若い犬の1.5倍のタンパク質が必要だといわれています。 犬も高齢になると消化機能が落ち、代謝も弱くなります。そのため若い頃と同じ量のタンパク質を摂取しても吸収できる量が少なく、タンパク質不足になってしまうことがあるのです。 タンパク質は体を構成する肉や血、被毛などの大元となる栄養素で、不足すると筋肉量や免疫力の低下にも繋がります。

鹿肉はシニア犬に必要なタンパク質がたっぷりと入っており、加齢で食欲が落ち、少量しかドッグフードを食べられないワンちゃんでも、効率的にタンパク質を補給することが可能です。 高齢になると代謝も運動量も低下するので、今までと同じ量の脂肪分やカロリーは栄養過多となりがちですが、鹿肉ベースのフードならその点でも安心して与える事ができるでしょう。

また犬の平均寿命の延びとともに、ワンちゃんの痴呆の増加も問題となっています。魚油を食べずとも、痴呆を防ぐ効果が期待されているDHAが補給できるという点も、シニア犬に鹿肉をオススメする理由のひとつです。

鹿肉を使ったドッグフードの注意点

前述したように、鹿肉(ベニソン)にはリノール酸が含まれています。 このリノール酸は不安定な脂肪酸であり、酸化しやすいという特徴を持ちます。 酸化したリノール酸を体内に取り込むと、細胞までもが酸化して傷付いてしまいます。その結果、細胞が本来の働きができなくなり老化の進行が速くなる、発ガンや肌の不調の原因となるなどといった、体への悪影響が現れる可能性があるのです。

脂肪は光や熱、酸素によって酸化します。 どのドッグフードにもいえることではありますが、製品の劣化を最小限に食い止めるために保存状態には細心の注意を払うようにしましょう。 使用後にはパッケージの空気をしっかりと抜いてから口を閉める、温度や湿度の高い場所では保管しないようにする、開封後は最低でも1ヶ月以内(フードによってはもっと短い期間の場合もあります)に使い切るなどの基本事項はしっかりと守りたいですね。

酸素を防ぐ構造をしたパッケージもありますが、チャックも何も付いていないような、心もとない袋に入ったドッグフードもあります。その場合はフードストッカーなどを利用して保存するのもひとつの方法です。

また使用途中でも、ドッグフードの袋を開けた時に油の腐ったような異臭を感じる場合には、新しいフードに交換することも重要です。 少々もったいない気もしますが、愛犬の健康を損ないかねない問題ですので、ためらうことのないようにしましょう。

まとめ

愛犬が太ってしまいダイエットが必要になった時、ドッグスポーツに必要な筋肉を付けたい時、高齢になり頭の働きや食欲が低下した時など、犬が生きていく中で経験する様々なシーンにおいて、豊富な栄養素を含んだ鹿肉(ベニソン)は非常に頼れる食材です。 鹿肉の栄養素において大きな特徴でもあるリノール酸を酸化させないように注意しながら、ワンちゃんの状態に合わせて上手に利用したいですね。