体重管理用ドッグフードの種類と特徴

ドッグフードを見直して愛犬の肥満を解消しよう

2016年の話ですが、各都道府県にある動物病院の診療記録を総合すると、全国で飼育されている犬の半数以上が肥満か太り気味に該当するというデータがはじき出されました。 それほどに肥満は、飼い主さんや愛犬にとって身近な問題であるといえるのです。

生まれ持っての体質(遺伝)、ホルモン分泌量の変化などから犬が肥満になる場合もあります。 しかし、犬の肥満原因として最も多いものは「食事の与えすぎ」だと言われています。 愛犬につぶらな瞳でおねだりされると、いけないとは思いつつもおやつやフードをあげすぎてしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。

しかし太りすぎは心臓病や糖尿病などの内臓疾患に繋がるリスクがあります。骨が犬の体重を充分に支えられなくなるので関節にも負担がかかり、関節炎やヘルニアの原因にもなります。 丸くコロコロしていたほうが可愛いらしいからと肥満を放っておくということは、犬の体に大きな負担をかけているのと同じことなのです。

いざ肥満になってしまった時、人間であれば運動やトレーニングにより体重を落とすことができます。 しかし人に比べて犬は生まれつき運動能力が高く、必要とする運動量も多い動物です。いつもより少し運動量を増やしたくらいでは、実はそれほどのカロリー消費には繋がりません。 かといって人間のようにトレーニングジムに通わせたり、アジリティなどのハードな運動を毎日続けるというのも現実的ではないでしょう。

それではどうすればよいのでしょうか。答えはひとつです。 やはり普段の食事を見直すことが犬の肥満解消への近道だと言えます。食事で摂取するカロリーが消費カロリーを大幅に上回らないようにしましょう。

各メーカーから体重管理用のドッグフードが多く発売されていますので、これを利用しない手はありません。肥満犬に合わせて調整されたフードの特徴を知り上手に活用することで、効率的に愛犬のダイエットを行いましょう。

体重管理目的のドッグフードには2種類ある

犬の体重をコントロールするためのフードには大きく分けて2つの種類があります。 ひとつは「減量用」、もうひとつは「体重維持用」です。

減量用のフードは既に明らかな肥満状態にある犬、病気などの理由から体重を落とす必要性のある犬に適しています。

体重維持用のドッグフードはその名の通り、現在の体重をキープし犬が今よりも太らないようにするために使われます。 避妊・去勢によるホルモンバランスの変化から太りやすくなった犬や、普段から大食い傾向にある犬、運動不足の犬、完全な肥満までとはいかなくてもやや太り気味の犬などにおすすめです。 肥満体の犬が減量用フードで体重を落としてから、その状態を維持するために使われる場合もあります。

この2種類の違いはカロリーです。一般的に体重維持用のドッグフードは通常のフードに比べて10%程度カロリーが抑えられており、減量用では15~20%ものカロリーがカットされています。

肥満用ドッグフードの特徴

犬の肥満解消の第一選択肢となりうる体重管理用のドッグフードですが、具体的にはどういった特徴を持つのかを見ていきましょう。

低カロリーだが必要な栄養素はしっかり取れる

「わざわざダイエット用のドッグフードを買わなくても、いつも食べているものを少なめにあげればよいのではないか?」 そう思われる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。ですが犬の健康を考えるとこの方法はオススメできないのです。

なぜかというと、普通のドッグフードの量を減らして与えた場合、たしかにカロリーの摂取量は減ります。 しかし同時にタンパク質やビタミン、ミネラルといったその他の栄養素も充分に取れなくなってしまうからです。

いくらカロリーを抑えた食事をしていても栄養不足の状態では健康的に痩せることはできません。健康のために体重を落としたのに、他の病気にかかってしまったとなれば本末転倒です。 その点肥満対策用のドッグフードならば、規定の給餌量を食べさせてもカロリーは低めに、その他の栄養素はしっかりと摂取することができます。 食事量そのものは今までとほぼ変わらないため、愛犬も物足りなさを感じにくいことでしょう。

低脂肪、高タンパク質で食物繊維が豊富

低脂肪

ダイエットの大敵といえば脂肪を連想する人は多いのではないでしょうか。 人間と同じように、犬も脂肪の取り過ぎは肥満に繋がります。そのため肥満犬用のドッグフードは脂肪分の割合が低めに設定されています。 「ダイエット中なのだから脂肪は一切与えないほうがよいのではないか」と思われる飼い主さんもいることでしょう。 しかし私たち人間よりもアクティブに動く犬にとって、脂肪は貴重なエネルギー源です。体調を整えたり、皮膚や被毛に潤いを与え状態を良好に保つ働きも無視できません。 いくら減量中だからといって、脂肪分を完全にカットすることは犬の健康にとって逆効果となります。肥満犬用フードには体調を維持できる程度の脂肪はきちんと含まれていますので、安心して与えることができるのです。

高タンパク質

脂肪とは反対に、犬の生命維持に必要不可欠なタンパク質は豊富に含まれています。 タンパク質は血や肉、骨や被毛など生物の体を構成するためには必要不可欠な栄養素です。 免疫細胞もタンパク質からできているため、タンパク質不足になると病気への抵抗力が低下してしまいます。

もちろん筋肉もタンパク質から作られます。高タンパクな食事と適度な運動により筋肉量が増えれば基礎代謝もアップします。基礎代謝が上がるということは体に脂肪が付きにくくなる、すなわち太りにくくなるということに繋がるのです。

ただし値段の安いダイエットフードの中には、犬にとって最も適したタンパク源である肉類の含有量が少なく、小麦やトウモロコシなどの植物性タンパク質をメインとしたものも存在します。 植物性タンパク質が多い場合、犬の体質によっては消化吸収がうまくいかずに、充分な量のタンパク質を補給できない可能性があります。 パッケージの原材料欄の最初に肉類の名称が表記されている(=含有量が多い)ドッグフードを選ぶようにしましょう。

豊富な食物繊維

肥満犬用ドッグフードには、食物繊維も多く含まれている傾向にあります。 繊維質を多く摂ることにより、血糖値の急激な上昇を防ぐことができるのです。繊維がお腹の中で膨らみ犬が満腹感を覚えやすくなることで、過食防止になるというメリットもあります。 また、老廃物を吸着してスムーズに排泄する働きもあるため、体の中に余計なものを溜め込みにくくなります。食物繊維はダイエットの心強い味方と言えるでしょう。

ただし食物繊維を多く摂ると、「お腹が張ってコロコロと鳴る」「オナラが増える」といった症状が出る犬もいます。 この状態は食物繊維の摂りすぎによって腸内細菌が異常に増殖し、ガスが増えてしまっている可能性が考えられます。

どのくらい繊維を摂るとお腹が張るのかは、その犬のもともとの体質や一時的な体調によるところが大きいので一概に語ることはできません。 しかし長く続くようであれば繊維質が低めのフードに変更したほうがよいでしょう。同じ体重管理用フードに分類されてはいても、商品によって繊維質の含有量には差があります。

ドッグフードを変えてしばらくは、特に注意深く愛犬の様子を観察し、体に合ったフードを見つけてあげてください。

ダイエットをサポートしてくれる成分が入っている

肥満犬用のドッグフードはただ低カロリー・低脂肪なだけではありません。犬の減量を積極的にサポートしてくれる処方になっていることが多いのです。処方の種類は様々で、各メーカーのこだわりが最も発揮される部分であるとも言えます。その例をいくつか見ていきましょう。

L-カルニチン

例えばL-カルニチンという成分が入っているフードがあります。 L-カルニチンとは脂肪燃焼を促進しエネルギーに変えやすくしてくれるアミノ酸の一種で、ダイエットの強い味方です。 ラム肉に多く含まれる栄養成分ですが、ドッグフードに添加することによって効率良く摂取することができます。

穀物不使用(グレインフリー)

人は穀物類を多く摂取すると太りやすくなりますが、それは犬も同じです。 穀物は口内や体内で分解されると糖へと変わります。穀類をたくさん食べるということは、その分だけ糖質も多く取り入れてしまっているということなのです。

この点に着目し、穀類不使用のダイエットフードも発売されています。 もともと穀物の分解酵素である「アミラーゼ」をほとんど持たない犬は、穀物を消化するのがあまり得意ではありません。したがって穀物の取り過ぎは胃腸に大きな負担をかけます。 穀物不使用のフードはダイエットにも役立ち、犬の消化器官にもやさしい一石二鳥の食べ物なのです。

低GI値

GI値とはグリセミック・インデックスの頭文字を取った言葉で、食べた物が体内で糖に分解される時に血糖値がどの程度の速さで上昇するのかを表した数値です。 このGI値が低ければ低いほど、血糖値の上昇が緩やかであると判断できます。

血糖値が急激に上がると、余分な糖を脂肪として溜め込む性質を持つインシュリンの分泌が過剰になるため太りやすくなるのです。 低GI値をうたったドッグフードには、血糖値を上げやすい小麦やトウモロコシの代わりに玄米やオーツ麦が使われていたり、サツマイモやリンゴ、野菜類が豊富に入っていることが多いです。

よく噛んで食べることを目的とした形状になっている

メーカーや種類によって差はありますが、ダイエット目的のフードは犬がしっかりと噛んで食べられるように粒(キブルとも言います)が大きめに作られていることがあります。 フードによってはよくある円形ではなく、細長かったりデコボコしていたり中央に穴が開いていたりとおもしろい形をしていることもあります。 あえてやや食べにくい形や大きさにすることにより犬に時間をかけてフードを噛ませ、「丸飲みであっという間に食べ終わってしまった」という事態を防いでいるのです。 これにより「食後の満足感を得やすい」「胃腸に負担をかけにくい」といったメリットが期待できます。

しかし小型犬の中には、粒が大きくて食べにくいとそれだけで食事をしなくなる子もいます。 どんなに優れたフードでも犬が食べてくれなければ意味がありません。 この場合は食べやすい大きさに割ってあげたり、少し小さいサイズのフードに切り替えるなどの工夫をしてみてください。

まとめ

肥満犬用のドッグフードの特徴について見てきました。

最後にひとつ裏技的な方法をご紹介します。 もしも愛犬お気に入りのドッグフードブランドに体重コントロール用のものが無い場合、シニア用フードで代用できるケースがあります。 シニア犬にとっても高タンパク低脂肪の食事は適しているとされており、肥満犬用のフードと似た特徴を持つことが多いからです。メーカーによっては「肥満犬や高齢犬用」とどちらにも使えるフードを出しているところもあります。 パッケージやメーカー公式サイトの説明をよく読み、愛犬の肥満解消に適したフードを探してあげましょう。

注意

※この記事の内容は、様々な「肥満犬用ドッグフード」の銘柄の特徴をまとめたものです。
商品によって特徴は多少異なりますので、すべての皮膚病用フードに上記の特徴が当てはまるわけではありません。