ドッグフードの着色料「赤色40号」の用途と犬に対する安全性

ドッグフードの着色料「赤色40号(アルラレッドAC)」

赤色40号(あかいろよんじゅうごう)は、日本において食品に使用を許可されている赤い色をした着色料です。
正式には、アルラレッドAC、もしくはアルーラレッドACと呼ばれます。

赤色40号のややオレンジがかった鮮やかな赤色は、自然界に存在する植物などから抽出されるものではなく、石油から採れるナフサという物質を原料として人工的に作られます。
赤色40号を始めとする合成着色料は、むかしは石炭から得られるコールタールを使って合成されていたため、2018年現在でもタール系色素と総称されています(※1)。

植物の収穫量や色調などに左右されない人工着色料である赤色40号は、安定して大量精算が可能なため安価であり、熱や紫外線にさらされても変色しにくいという特徴を持つ着色料です。

※1 以前はコールタールから作られていたタール系色素ですが、コールタールの安全性に問題がある(発がん性あり)と判明してからは、原料が石油に切り替えられました。

赤色40号は、添加される食品の種類は幅広いものの、糖分やビタミンC濃度が高いと変色しやすいというデメリットもあり、それほど使用されていないのが現状です。
しかし、人間の食品のみならず、ワンちゃんの総合栄養食(※2)からおやつに至るまで、赤色40号を使ったものが販売されています。
赤色40号とはどのような着色料であるのかご紹介していきたいと思います。

※2 総合栄養食…動物たちに必要な栄養素が全て詰まっているフードのことを表します。通常の健康なワンちゃんであれば、このフードと水さえあれば、健康的な栄養バランスの良い食事がとれるとされています。
動物の種類ごとに要求される栄養素の量や種類が異なるため、それぞれに合わせて作られた総合栄養食を与えることが大切です。犬には犬用の、猫には猫用のフードを用意してあげましょう。
総合栄養食の他には、副食や間食、栄養補完食などがありますが、いずれも含まれる栄養素には偏りがあるため、これらだけで全ての栄養素を賄うことはできません。

赤色40号の食品への使用状況

セミモイストフードやジャーキーなどに使われる

朱色と形容した方が相応しいような、赤色40号のオレンジ色を帯びた赤い色は、犬用ジャーキーなどにトッピングされる、乾燥ニンジンやトマトの粒などの着色に利用されています。
さらには絵の具のように、黄色4号や5号、青色1号など他の色味を持つ着色料と混ぜ合わせて、チョコレートのような茶色や黒っぽい色を作り出すことも可能です。

こうして作られた色は、セミモイストのドッグフードやジャーキーそのものの色をきれいな茶色に見せるために使用されます。
原材料の色に左右されがちなフードの色みを常に一定に保つことは、「以前買った商品と色が違う。
品質が劣化しているのではないか?不良品ではないのか?」といった消費者からの苦情を防止するという観点からも有効です。

ドライフルーツやリキュール、イチゴ味の菓子類などにも添加されている

赤色40号を使用した人間用の食品は、上記の写真のような鮮やかな赤色をしたリキュールやシロップ、ガム、ソーセージ、サプリメントのカプセルなどさまざまです。
チョコレートの表面のカラフルな絵柄やコーティング、可愛らしく派手な赤色が要求されるゼリーや飴(イチゴ味やサクランボ味)などにも使われています。

また、イチゴを使用したジャム(下の写真参照)やドライフルーツなどに添加されることもあります。
こうした食品は、素材そのままを生かすと、どうしてもぼんやとした地味な色みになりがちです。
赤色40号を添加することによって、パッと鮮やかで、店頭に陳列された際にも人目を引く赤色に染めることできるのです。

ワンちゃんのフードやジャーキーと同様、人間用のチョコレートやラスクの茶色も、赤色40号とその他の色素の混色によって着色されているケースもあります。

日本においては、赤色40号を始めとするタール系色を使用してはいけないと決められている食品も存在します。
その種類には、食肉・魚肉・鯨肉の漬け物類、野菜、しょう油、きな粉、味噌、海苔類、茶、マーマーレードなどが挙げられます。
また2018年2月現在では、赤色40号の化粧品への使用は認められていません。

赤色40号を使用した商品の数は少ない

赤色40号は、ビタミンCや大量の糖などによって変色するという性質があります。そのため、これらの成分を含むお菓子や飲み物には使いにくい着色料です。
したがって、赤色40号を添加された食品のバリエーションは多いものの、実際に使用されている数は少ないというのが実態です。

過去には赤色40号の変色する性質を利用して、ケミカル菓子やサイバー菓子などと呼ばれる、色の変化を楽しみながら食べるお菓子類が作られていたこともありました。
しかし、こうしたお菓子の主なターゲット層は子ども達です。
成長盛りの子どもの食べ物に合成着色料が入っていることに対して不安を持つ保護者の増加に伴い、現在(2018年2月)では植物などから抽出された天然色素を使用する方向に変わっています。

このように、以前に比べて日本の消費者も食の安全性に関して敏感になってきました。
今やワンちゃんに対しても、本当の子どもや兄弟のように接する人が多い時代です。
「自分の家族に、安全性の不確かなものは食べさせられない」と、ドッグフードや犬用のおやつの添加物に関しても、気を遣う人が増えてきています。

しかし、人間の子どもと比べると、まだまだ全体的に動物(ペット)の食事への意識は低いです。
事実、「着色料をたっぷりと使った見た目が華やかなフード」と、「着色料無添加の地味な色合いのフード」が並んでいたとしたら、前者のキレイなフードの方が売れていることが現実なのです。
もちろん、メーカーとしては利益を上げなければ商売が成り立ちません。
多少コストがかかっても、安全性を犠牲にしてでも、売れる商品を作るためには着色料を添加することが当然の流れでしょう。

とはいえ、着色料でフードに色を付けることは、「食事を目でも楽しむ」という感覚を持たないワンちゃんたちにとっては、何もメリットがありません。
「家族(=犬)の体に不必要な成分は与えない」という人々の意識がもっと高まれば、現在のカラフルなフードがもてはやされている現状も、少しは変わってくるのかもしれません。

赤色40号に危惧される健康リスク

赤色40号には、ワンちゃんの健康に関するいくつかのリスクが指摘されています。

  • アレルギーを誘発するリスク
  • 注意欠如多動性障害(ADHD)の症状を悪化させる可能性
  • 赤色40号アルミニウムレーキに含まれるアルミニウムの害への懸念

アルミニウム以外のふたつは、まだ「可能性がある」という段階の話ではありますが、赤色40号には色々と不安な要素があることに違いはありません。
それぞれについてご説明します。

アレルギーを誘発するリスク

赤色40号に限らず、タール系色素と呼ばれる人工の着色料には、不純物が15%未満であれば残留していてもよいと認められています。
しかし、含まれる不純物の種類や数、割合などに対する研究は充分ではなく、それらが健康に及ぼす危険性についても明らかにはなっていません。
リスクはハッキリとしていないものの、アレルギーやガンを誘発する可能性も否定しきれないのです。

注意欠如多動性障害(ADHD)の症状を悪化させる可能性

赤色40号は、注意欠如多動性障害(ADHD)※3)を持つ子どもの症状を悪化させる可能性があると指摘されている着色料のひとつです。
イギリスにおいては、赤色40号を始めとする合計6種の着色料(後述します)と、安息香酸ナトリウムなどを含む食品に対して、「子供の行動・集中力に悪影響を及ぼす可能性がある」と明示することが義務付けられています。

※3 注意欠如多動性障害(ADHD)・・・先天的な発達障害の一種です。
人間にみられる症状には、
・興味や考えがさまざまな方向に向かってしまい、ひとつの物事に集中することが苦手
・自分の興味のあることには過剰な集中力をみせる
・じっとしていられず、ウロウロと動き回る
・忘れ物や無くし物をよくする
・片付けが苦手
・感情の抑制がきかずに、激しい怒りを表してしまうことがある
などが挙げられます。

注意欠如多動性障害は人間だけに発生する発達障害ではなく、ワンちゃんにも起こる障害だといわれています。
ワンちゃんの注意欠如多動性障害は、ハイパーアクティブやハイパーアクティビティー(過活動)などとも表現され、飼い主さんが困り果てるほどの問題行動が現れることもあります。

代表的な症状としては、

  • 刺激のない静かな空間にいても、じっとしていることができない
  • 周囲の音や物、生き物などに気を取られすぎてしまい、散歩が上手にできない
  • 身の回りの物を、手当たり次第に噛んだり振り回したりして破壊する
  • 他の犬や人などに衝動的に吠えかかったり飛び付いたりする
  • 呼吸数や心拍数が速い
  • 栄養バランスの取れた食事をとっているのに、異常に痩せている
  • ヨダレの量が多い

などがあります。

これらのうち、上から4つめまでは、他の要因からも起こる可能性のある問題行動です。
障害ではなく生まれつきの性格の場合もあるでしょうし、子犬の頃の社会化(※4)が充分でなかった、散歩の時間が少なく運動不足である、生活上で大きなストレスがかかっているなど、さまざまな可能性も考えられます。

※4 社会化・・・好奇心旺盛な子犬のうちにさまざまな動物や人、物、音、場所などに慣らせておき、成犬となっても過剰な恐怖心を持つことなく、色々な状況に適応できるようにトレーニングすることです。

下の3つの身体的な症状も、何かしらの内科的疾患から来ていることもあるでしょう。
しかし、まれにではあるものの、生まれついての発達障害を持つワンちゃんもいると考えられているのです。

体に異常がなく、適切なしつけや運動不足の解消、ストレス緩和などを試みても上記のような症状が治まらない。そのようなワンちゃんの中には、注意欠如多動性障害を持つ子がいる可能性もあるでしょう。
こうした子に対しては特に、赤色40号は警戒したい着色料です。

また、一部の研究では、注意欠如多動性障害ではない(人間の)子どもの行動にも、タール系色素による悪影響がみられたという報告もあります。
赤色40号を始めとした6種類の着色料は、発達障害が心配されるワンちゃん以外も注意したい添加物であると考えられます。

赤色40号と同じように、注意欠如多動性障害の症状悪化のリスクがあると考えられている着色料には、

  • 黄色4号(タートラジン)
  • 黄色5号(サンセットイエローFCF)
  • 赤色102号(ニューコクシン)
  • キノリンイエロー
  • カルモイシン

の5種類があります。

それぞれの着色料の詳細については、以下の記事をご確認ください。
 →ドッグフードの着色料「黄色4号」の用途と犬に対する安全性
 →ドッグフードの着色料「黄色5号」の用途と犬に対する安全性
 →ドッグフードの着色料「赤色102号」の用途と犬に対する安全性
ちなみに、キノリンイエローとカルモイシンは、2018年2月現在、日本において食品への使用が禁止されている着色料です。

前述通り黄色4号と5号は、茶色や黒色を出す目的で赤色40号と混色されることの多い着色料です。
着色料全般において、他の色と混ぜ合わせた際のリスクはあまり検証されていません。
また、混色された着色料を使用したフードを食べるということは、それだけさまざまな種類の色素や不純物を体内に取り込むことを意味します。
不純物にはアレルギー誘発の危険性も指摘されていますし、原材料欄にこれらの着色料が列記されているフード類には警戒をした方がよいでしょう。

赤色40号アルミニウムレーキに含まれるアルミニウムの害への懸念

最後に、赤色40号と水酸化アルミニウムを組み合わせて作られる、赤色40号アルミニウムレーキという着色料についての健康リスクについて解説します。

アルミニウムレーキ化は、水との親和性が高い赤色40号を水に溶けにくく、粒子を細かくするために行われます。
これにより、少量の着色料でも美しく均一に色を付けることが可能となるのです。

しかし、アルミニウムレーキに含まれるアルミニウムは、多くの健康被害が指摘されている物質です。
具体的には、

  • 神経系統、生殖器の正常な発育が妨げられる
  • 腎臓や膀胱の機能が低下する
  • 握力が弱くなる

などがみられ、人間に対しては1週間当たりの摂取制限が設けられている物質です。
またアルミニウムレーキは、子どもたちの健康に配慮して、「お菓子への使用は控えるように」とのお達しが、日本政府から各メーカーへと出ている添加物でもあります。
しかし、使用禁止とはなっておらず、添加している場合にも「アルミニウムレーキ」という表示はしなくてもよいことになっています。

赤色40号アルミニウムレーキを添加した食品の原材料欄には、「赤色40号アルミニウムレーキ」と書いてあるケースもあれば、「着色料(赤色40号)」や「赤40」という表示のみのケースもあるのです。
後者の場合は、私たち消費者にはアルミニウムレーキの化合物であるのかどうかは判断のしようがありません。
摂取量には規制があるにも関わらず、食品表示のルールは緩いという矛盾した状態なのです。

ワンちゃんに対してはそもそも摂取量の決まり自体がありませんから、人間の子どもと同様に(規制で守られていないことを考えると、それ以上に)飼い主である私たちが注意してあげる必要があります。

まとめ
赤色40号(アルラレッドAC)の概要、用途、健康へのリスクなどについてご紹介しました。
赤色40号は、アレルギー体質のワンちゃんや注意欠如多動性障害が疑われるワンちゃんのみならず、健康な体を持ったワンちゃんに対しても、さまざまな危険性が指摘されています。

赤色40号が添加されているフード類は、たまに与えるおやつ類から、毎日食べる総合栄養食までさまざまです。
中でも、ワンちゃんの毎日の主食となるフードに着色料が含まれているということは、当然、多くの色素を体に取り込むこととなり、健康リスクも上昇すると考えられます。

愛犬の健康を守ってあげられるのは私たち飼い主だけです。
見た目が華やかでなくても、無駄な成分の入っていない、安全で自然な風味を持つフードを与えてあげることも、「わが子」同然の愛犬への愛情のかけ方のひとつではないでしょうか。