ドッグフードにコーンシロップ(甘味料)を添加する目的と安全性

ドッグフードの甘味料「コーンシロップ」

ドッグフードに添加される甘味料の中に、「コーンシロップ」と呼ばれるものがあります。
文字通りトウモロコシを原料とするシロップで、トウモロコシのデンプン(コーンスターチ())を酵素や酸で分解することで作られます。

100%ブドウ糖で構成されており、甘さはショ糖(砂糖)比べ65%程度とやや控えめです。
粘度が高いことが特徴で、甘みの添加だけでなく、ねっとりとした口当たりを出したいときにも使用されます。

※コーンスターチ・・・別名「とうもろこしデンプン」とも呼ばれます。トウモロコシに含まれるデンプンのみを取り出し、乾燥させた粉状のものです。
コーンスターチに関して詳しくは→ドッグフードの原材料「コーンスターチ」の特徴と配合目的は?

コーンシロップと異性化糖

コーンシロップとよく似た甘味料に、「異性化糖」というものがあります。
別名「果糖ぶどう糖液糖」と呼ばれていますが、こちらの名称はよく目にする機会が多いのではないでしょうか。
上記の通り、コーンシロップは比較的甘さの弱い甘味料です。
より甘みを強めるために、コーンシロップ中のブドウ糖の一部をさらに甘い「果糖」に変化させたものが、「果糖ぶどう糖液糖」です。
こちらは砂糖とほぼ同等の甘さを持つことで知られており、ドッグフードの他にも私たちの口にする清涼飲料水や飴などによく使用されています。
甘味料の中でもカロリーが高いことが特徴ですので、過度な摂取には注意が必要です。

一般的に「コーンシロップ」という場合、純粋な「ブドウ糖100%」のコーンシロップだけでなく、この「異性化糖」を指す場合もあります。

ドッグフードへの使用

ワンちゃんはよく「味音痴である」と評されますが、これは人と比べて味蕾の数がおよそ五分の一程度であることが理由として挙げられます。
実際に人と比べて味覚は鈍いのですが、甘みを感じる力はとりわけ強いとされています。
そのため、さつまいもやボーロなどの甘いものが大好きなワンちゃんも多いようです。
そういった特性を利用して、ドッグフードには嗜好性アップのために甘味料が使用されることがあります。
コーンシロップやぶどう糖果糖液糖も例外ではなく、パッケージに記載されている「原材料表示」の中に表示が見られることもあるでしょう。

健康への影響

ここで気になるのが、ワンちゃんの健康に対する影響です。
コーンシロップに限らず糖分に分類されるものは、過剰な摂取は禁物とされています。
よく親御さんが子どもに、「甘いものを食べすぎるのはやめなさい」「虫歯になるから控えなさい」と注意する光景が見られますが、実際に糖分の過剰摂取は、肥満や虫歯の原因になります。

コーンシロップ(異性化糖)に限った場合も、同様の健康被害が懸念されています。
「砂糖よりぶどう糖果糖液糖の方が危険なのではないか」という不安の声も上がっていますが、米国医師会(AMA)は、「ショ糖(砂糖)と比較した場合、身体への影響や吸収のメカニズムはほぼ同じであるため、とりわけ異性化糖が危険であるとは考えにくい」と発表しています。

しかし、コーンシロップは甘味料の中でも高カロリーの部類に入ります。
少量であれば効率のよいエネルギー源となりますが、摂りすぎは肥満や糖尿病の原因となる可能性があります。
ワンちゃんに与える量には飼い主さんの注意・管理が必要です。

高品質な原材料でつくられた質の高いフードであれば、その材料の味をワンちゃんもよろこんでくれるはずです。
あくまでも甘味料は「手助け」として考え、上手に付き合っていきましょう。