ドッグフードの原材料「植物性油脂」の種類と働き

ドッグフードの原材料「植物性油脂」

ドッグフードには植物性、動物性含めさまざまな種類の油脂が、エネルギーや脂肪酸の供給、嗜好性アップなどを目的として用いられています。
今回はその中でも植物性油脂を取り上げ、その種類や栄養素、選ぶ時の注意点などについてご紹介していきたいと思います。

種子や実から得られる植物性油脂

油脂は、動物性油脂と植物性油脂に大きく分けられます。
動物性油脂とはその名が表す通り、牛や豚、鶏、魚類などの動物から採った油脂のことです。
対して植物性油脂は、さまざまな植物の種子や果実、胚芽などを絞った油です。
植物性油脂は植物油やベジタブルオイルなどと呼ばれることもあり、原材料に粉砕・加熱などの下処理を施し、圧力をかけたり、溶剤を加えて油分を溶け出させて抽出します。

植物性油脂の種類と栄養素

植物性油脂に含有される脂肪酸について

植物性油脂は、各種脂肪酸の供給源となる他、ビタミンAやビタミンD、ビタミンEといった脂溶性ビタミンを溶かし吸収性の向上にも貢献する、ワンちゃんの健康にとって不可欠な食品です。

植物性油脂には不飽和脂肪酸という脂肪酸が多く含まれています。
脂肪酸は、動物性食品に多い飽和脂肪酸と植物性食品に多い不飽和脂肪酸とに大別されます。
重要なエネルギー源であり酸化にも強いものの、過剰摂取で脂肪の増加、コレステロール値や中性脂肪が上昇しやすくなる飽和脂肪酸に比べ、不飽和脂肪酸は太りにくく、健康に有益な効果をもたらしてくれるのです。

まずは、ワンちゃんの体にとって必要となる、主な不飽和脂肪酸とその作用を簡単にご紹介しましょう。

植物性油脂に多く含まれる不飽和脂肪酸一覧
種類 主な作用
α-リノレン酸 犬の必須脂肪酸(※1)であり、体内でEPA(エイコサペンタエン酸)→DHA(ドコサヘキサエン酸)へと順を追って変化します。
EPAとしては、血栓の防止やアレルギーの炎症を抑制する作用があります。
DHAへ変化すると、学習能力を良い状態に保持する、血管を柔らかくして血流を改善するなどの効果を発揮します。
注意したいのは、α-リノレン酸が犬の体内でどの程度EPAやDHAへ変換されるかはハッキリしておらず、個体差によるところが大きいという点です。
α-リノレン酸の体内変換が苦手なワンちゃんには、魚油などに含まれるEPAやDHAを直接与えるという方法もあります。
γ-リノレン酸 LDLコレステロール(悪玉)値の低下、抗炎症作用が確認されており、アトピー性皮膚炎の治療に使われている国もあります。
γ-リノレン酸はリノール酸を材料として、犬の体内で作り出すことが可能ですが、合成量は年齢と共に低下します。
リノール酸 犬の血圧を低下させたり、血中コレステロールを減らす作用を持つ脂肪酸です。また、皮膚の構成成分であり、皮膚や被毛に潤いを閉じ込め、外部刺激から保護するセラミドの原料ともなります。
ただしリノール酸には、過剰摂取により血栓の生成、関節炎やアレルギー症状の悪化といった健康被害を及ぼすリスクもあります。
オレイン酸 HDLコレステロール(善玉)の量はキープしたまま、LDLコレステロール値だけを低下させる働きを持ちます。
表皮ブドウ球菌やアクネ菌などといった皮膚の常在菌を増やし、悪影響を及ぼす雑菌が住みにくい皮膚環境を保つ作用も認められています。

※1 必須脂肪酸・・・その動物が生存するためには欠かせない成分でありながら、体内で作り出すことが不可能か、合成できてもごく少量であるため、食品などを通じて外部から摂取することが必要な脂肪酸を意味します。

不飽和脂肪酸は不安定な構造を持ち、熱や酸化に弱いという性質があります。
特にα-リノレン酸、γ-リノレン酸、リノール酸は安定性に欠け、酸化しやすい脂肪酸です(※2)。
これらの脂肪酸を多く含有した植物性油脂は加熱調理には向いておらず、生で食べることが推奨されています。

対して同じ不飽和脂肪酸であってもオレイン酸は高い安定性を持ちます(ただし、飽和脂肪酸ほどの安定感はありません)。
高いオレイン酸含有量を誇るオリーブ油やパーム油などは、熱を加える料理に使っても酸化しにくい油です。

※2 活性酸素によって酸化した脂肪は過酸化脂質と呼ばれ、犬の細胞までをも酸化させてガンや糖尿病、アレルギー、心臓病などの引き金となることが懸念されています。

それぞれの不飽和脂肪酸の詳しい働きや構造については、こちらの記事をご確認ください。
ドッグフードに含まれる脂肪酸の種類と特徴

このように、植物性油脂に含まれる不飽和脂肪酸にはさまざまな特徴があります。
次の項目では、ドッグフードに使用される頻度の高い植物性油脂をピックアップして、それぞれどの脂肪酸を多く含有しているのか、原材料や味の特徴などをご紹介していきます。

ドッグフードに利用される植物性油脂

ドッグフードに利用されることの多い植物性油脂の種類(五十音順)
種類 別名 原材料 含有量の多い脂肪酸
亜麻仁油 フラックスシードオイル 亜麻(種子) α-リノレン酸/オレイン酸
えごま油 シソ油 えごま(種子) α-リノレン酸/オレイン酸
オリーブ油 オリーブオイル オリーブ(果実) オレイン酸
キャノーラ油 菜種油 菜種(種子) オレイン酸/リノール酸
コーン油 トウモロコシ(胚芽) リノール酸
ゴマ油 ゴマ(種子) リノール酸/オレイン酸
米ぬか油 米油 米(糠) オレイン酸/リノール酸
サフラワー油 紅花油 紅花(種子) リノール酸/オレイン酸
大豆油 大豆(種子) リノール酸/オレイン酸
月見草油 イブニングプリムローズオイル 月見草/マツヨイグサ(種子) リノール酸/γ-リノレン酸
パーム油 パームヤシ(果肉) オレイン酸/パルミチン酸(飽和脂肪酸)
ひまわり油 サンフラワー油 ひまわり(種子) リノール酸/オレイン酸
ルリチシャ油 ルリジサ油/ボラージオイル ルリチシャ(種子) リノール酸/γ-リノレン酸

動物性油脂と比べて使用頻度は低いものの(理由は後述します)、上記の表のようにドッグフードには色々な植物性油脂が使われています。
ここでは、ドッグフードに使用されている植物性油脂をひとつずつ取り上げ、特徴や栄養素などを、五十音順で解説していきたいと思います。

亜麻仁油(フラックスシードオイル)

地中海地方を原産地とする亜麻(あま)は、青や紫がかった可憐な花を咲かせる植物です(上の左の写真参照)。
「仁」は「種」を意味し、亜麻の種から抽出されたオイルのことを「亜麻仁油(あまにゆ)」と呼びます。右の写真が亜麻の種=亜麻仁です。

亜麻仁油はα-リノレン酸やオレイン酸に富み、ドッグフードのみならず、人間用のパンやシリアル、ドレッシングやマヨネーズなど多くの食品に使用されています。
また、サラダ油などと同じように、ボトル詰めされたものも多くの種類が販売されています。

亜麻仁油は特にα-リノレン酸の含有量が高いため酸化に弱く、加熱調理への使用は向いていません。
ワンちゃんの食事に取り入れる場合には熱を加えず、フードの仕上げにそのまま垂らしてあげるようにするとよいでしょう。
これは、亜麻仁油以外の酸化しやすい植物性油脂に関しても同様です。

亜麻仁油の味はやや個性的で、人によっては「生臭い」、「苦い」と感じることもあるでしょう。

えごま油(シソ油)

シソ科のえごまの種子から得られる油を、えごま油(シソ油)といいます。

えごま油には亜麻仁油と同様、α-リノレン酸が豊富に含まれているため、生食に向いています。
独特のクセがあり、他の油とブレンドした方が食べやすいでしょう。

えごまはその名前からゴマと勘違いされやすいですが、ゴマとは異なる植物です。
左の写真はえごまの葉、右は種子です。シソ科というだけあり、シソによく似た葉をしていることが分かります。
一方種子は、ゴマとは全く異なる灰色がかった丸い形をしています。

オリーブ油

オリーブの果実を搾り抽出したオリーブ油は、全体の7割以上がオレイン酸で構成されています。
安定性に優れるオレイン酸のお陰で、加熱調理に使っても変質しにくいことが特徴です。

オリーブ油は、原料となるオリーブの産地や種類によって味や香りに個性が出ます。味は苦みの強いものから比較的あっさりとしたものまでさまざまです。

オリーブ油を食べる時にほのかな辛味を感じることがありますが、これはオリーブ特有の成分であるオレウロペイン・アグリコンの味です。
ポリフェノールの一種であるオレウロペイン・アグリコンは、脂肪燃焼やタンパク質代謝を促進し、きちんと筋肉の付いた痩せやすい体へと導いてくれる働きがあるといわれています。

キャノーラ油(菜種油)

キャノーラ油は菜種(=アブラナ)の種から作られます。
オレイン酸を最も多く含有し、その後にリノール酸が続きます。

サラリとした感触で固まりにくく、味にもクセがないため扱いやすい油です。

コーン油

コーンスターチの製造過程で取り除かれるトウモロコシの胚芽から得られる油がコーン油です。
全体の半分以上をリノール酸が占めており、オレイン酸も豊富なため、加熱をしても酸化しにくいというメリットがあります。
コーン油の香ばしさやこっくりとした味が好みに合う人は多いでしょう。

ゴマ油

リノール酸やオレイン酸の含有量の多いゴマ油は、ゴマの種子から抽出された油です。

ゴマ油にはゴマリグナン(ゴマが含有するポリフェノールの総称)の一種である、セサモールやセサミノールという成分が豊富に含まれており、活性酸素の害からワンちゃんの体を守ってくれます。
この抗酸化作用はゴマ油自身にも働きます。
そのため、ゴマ油は品質が劣化しにくいのです。

私たち日本人にもお馴染みの香ばしい風味を持つゴマ油は、ドッグフードにひと垂らしすることにより、愛犬の食欲増進効果も期待できます。

ゴマ油についての詳細は、ゴマについての記事の中で解説しています。
ドッグフードの原材料「ゴマ」の抗酸化作用と犬への上手な与え方

米ぬか油

米ぬか油は、玄米から表皮や胚芽を取り除き白米へと精米する途中で得られる糠(ぬか)を利用して作る油です。
オレイン酸が最も多く、リノール酸にも富んでいます。

また、糠の部分に多いγ-オリザノール(ガンマオリザノール)も含有しています。
γ-オリザノールは、HDLコレステロールの増加やLDLコレステロールの減少に効果的であり、頭の働きを良くしてくれる作用を持つなど、健康効果の高い成分です。

米ぬか油のしつこさのない香ばしさは、さまざまな料理の味を邪魔しません。

サフラワー油(紅花油)

紅花の種子から採れるサフラワー油は、オレイン酸の含有量が高いハイオレイックタイプと、リノール酸の多いハイリノレイックタイプに分かれます。

前述の通り、リノール酸はワンちゃんにとって必須脂肪酸ではありますが、取り過ぎによる害も心配されています。
ドッグフードにはリノール酸が多く含まれる傾向があり、リノール酸過剰気味なワンちゃんの増加が懸念されています。
リノール酸が気になる場合には、ハイリノレイックタイプは避けましょう。

抗酸化作用に優れるビタミンEも豊富なサフラワー油は、味や匂いがほとんどありません。

大豆油

50%以上がリノール酸で構成されている大豆油は、大豆の種子から抽出される油です。
リノール酸以外では、オレイン酸やリノレン酸、飽和脂肪酸の一種であるステアリン酸なども含まれています。

サラサラとした質感でクセの少ない大豆油は熱に弱いため、加熱する料理には不向きです。
ちなみに、油を搾った後の大豆は、脱脂大豆や大豆ミールとして、タンパク質供給の目的でドッグフードの原材料として使われています。

月見草油

上の写真は、夕方から夜にかけて花を咲かせるマツヨイグサです。
「月見草」と呼ばれることもあるマツヨイグサの種子から得られる月見草油は、甘さの強い個性的な風味を持つため、調理用油としての評判は芳しくなく、多くの種類は販売されていません。
主にサプリメントやアロマテラピー、スキンケア用として利用されます。

しかし、他の植物性油脂にはほとんど含まれないγ-リノレン酸を含有する貴重なオイルであり、ドッグフードやワンちゃん用のサプリメントなどに加工されて商品化されてもいるのです。

ただし、ブタクサに対するアレルギーのあるワンちゃんは、月見草油でも症状が出てしまうケースがあります。
ワンちゃん達の中には、キク科に属するブタクサなどの花粉症を持っている子が多いといわれています。
該当するワンちゃんには、月見草油を含むフードを与えることは避けましょう。

パーム油

アブラヤシ(パームヤシ)から採れる油には2種類あり、果実を原料とする油をパーム油、種子から抽出した油をパーム核油といいます。

オレイン酸以上にパルミチン酸(飽和脂肪酸の一種)を多く含むパーム油は、常温下では固体と液体の中間のような状態を保つ、淡白な風味の油です。
オレイン酸とパルミチン酸という変質しにくい脂肪酸のお陰で、非常に酸化に強いことが特徴ですが、飽和脂肪酸が多いため、ワンちゃんには与えない方がよいともいわれています

ヒマワリ油 (サンフラワー油)

ヒマワリの種子から得られるヒマワリ油は、サフラワー油と混同されやすいですが全く別物です。
とはいえサフラワー油と同じように、オレイン酸の多いタイプとリノール酸の多いタイプの2種類が存在します。

ヒマワリ油には、ビタミンEも多く含まれており、高オレイン酸タイプの油は熱に強く、加熱調理にも適しています。
油特有のベタ付きが少なく万人受けしやすい味ですが、香りが弱いため、ワンちゃんの嗜好性はあまり高くはないかもしれません。

ルリチシャ油 (ルリジサ油/ボラージオイル)

ルリチシャ(ルリジサ/ボラージ)という名前に聞き覚えのある日本人は多くはないでしょう。
ルリチシャは地中海地方が原産の植物であり、上の写真のように、星形の個性的な花を咲かせます。
西洋ではハーブとして料理に用いられることが多いですが、日本においてはマイナーな存在です。

このルリチシャの種子から作られた油が、ルリチシャ油です。
月見草油よりも多くのγ-リノレン酸を含有し、種類は少ないながらもドッグフードや犬用のサプリメントに利用されています。
やや粘性の高いオイルは、人によってはクセを感じることもあるでしょう。

ご紹介した植物性油脂の中には、熱に弱く酸化しやすい性質を持つ油が多くあります。
「愛犬にはなるべくフレッシュな油を与えたい」と考える飼い主さんは、できるだけ「低温圧搾」や「コールドプレス」と表記されている油を購入した方がよいでしょう。

低温圧搾(コールドプレス)とは、原材料に熱を加えることなく、じっくりと圧力をかけて搾り油を抽出する方法です。
高温処理をして大量の油を抽出する方法よりも時間がかかりますし、採れる油の量も少なくなります。
しかし、熱による油の劣化が抑えられ、含まれる栄養素も破壊されにくくそのままオイルの中に残るため、栄養価が高い油ができ上がるのです。

植物性油脂のドッグフードへの利用

植物性油脂の問題点は犬の嗜好性と保存性

植物性油脂は動物性油脂から比べると、ドッグフードに使われることの少ない素材です。
その理由は、ワンちゃんたちの食性を考えると、すんなりと納得していただけるのではないでしょうか。

ワンちゃんは雑食寄りに進化してきたとはいっても、本来は肉食性であり、野菜や果物よりも肉類や魚類といった動物性食品の匂いや味を好む傾向が強い動物です。 そのため、犬の植物性油脂に対する嗜好性は今ひとつであり、フードへの食い付きを良くするためには動物性油脂の方が適しているのです。

また、植物性油脂に多く含有されている不飽和脂肪酸の影響により、動物性油脂よりも保存性に難があるという理由も挙げられます。

前述の通り、不飽和脂肪酸はワンちゃんの健康に有益な働きをする栄養素ではありますが、熱に弱く酸化スピードが速いという性質も持っています。

この不飽和脂肪酸を多く含む植物性油脂の保存性は低く、長期間の保存を前提として作られるドッグフードとの相性は良くありません。

植物性油脂に添加される酸化防止剤について

植物性油脂がドッグフードに使われにくいというお話しをしましたが、近年(この記事を書いているのは2017年12月です)、亜麻仁油やえごま油などの健康効果にスポットが当たり、人々の間で植物性油脂がもてはやされるようになりました。
ドッグフード業界にもその影響は及び、犬の健康のために植物性油脂を添加したフードの種類も増えました。
ドライフード、ウェットフードはもちろんのこと、ワンちゃん用のジャーキーやクッキー、パン、お煎餅などのおやつにも、上でご紹介した油たちが幅広く使用されています。

ここで問題となってくるのが、植物性油脂の保存性の悪さです。
「安定性に欠け、酸化しやすい」という欠点をカバーするために、ドッグフードに使用される植物性油脂に対しては、酸化防止剤が添加されていることがほとんどです
この酸化防止剤にも色々な種類があり、中には体への毒性が強いと懸念されている成分もあるため慎重に選ぶようにしましょう。

特に注意したい酸化防止剤としては、エトキシキンBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)の3種類が挙げられます。
これらは、非常に強力な酸化防止作用を示す便利な抗酸化剤ではありますが、それぞれに問題点も抱えています。
3つの成分の危険性を簡単にみていきましょう。

エトキシキン

エトキシキンは、ビタミンEなどと比べて抗酸化力が長持ちし、さらに価格が安いというメリットがあります。
しかし、過剰摂取により腎臓や甲状腺機能の障害、胎児への悪影響などが懸念されているのです。

BHA(ブチルヒドロキシアニソール)

油脂に対する抗酸化力に優れるBHAですが、発ガン性の疑いの他、犬の甲状腺の脂肪量増加やラットの生殖器重量が減るなどの影響が確認されています。

BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)

BHTは熱に強く、安定した抗酸化力を長期間維持することが可能な酸化防止剤です。
しかし犬を用いた実験では、下痢を起こすリスクが報告されています。
さらには奇形児の出生が増えるアレルギーの誘発など、多くの健康被害の可能性が指摘されている物質です。

これらの酸化防止剤についての詳細は、以下の記事をご確認ください。
ドッグフードの酸化防止剤「エトキシキン」の危険性とは?
ドッグフードの酸化防止剤「BHA」の犬への健康リスク
ドッグフードの酸化防止剤「BHT」の危険性

どの酸化防止剤も、安全性についてハッキリと分かっていない点も多くあり、安心してワンちゃんに与えられる物質ではありません。
愛犬の体のためには、ミックストコフェロール※3)やビタミンCローズマリー抽出物といった、安全性の高い酸化防止剤で保存された油脂を使用しているドッグフードを選ぶことをおすすめします。
これらは単独よりも、いくつかを組み合わせて使用されることが多い酸化防止剤です。
そうすることで、より強力に油脂やドッグフードの酸化を防ぐことが可能となるのです。

※3 ミックストコフェロールとは、複数の種類のビタミンEを混合した酸化防止剤です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。→ドッグフードの栄養素「ビタミンE」の働きと過剰・欠乏について

ドッグフードのパッケージには、使われている植物性油脂の名称(「オリーブ油」、「大豆油」など)のみが表記してあることもあれば、「オリーブ油(ミックストコフェロールで保存)」というように、何の抗酸化剤を使って保存性を高めているかまでが書かれているケースもあります。
可能な限り、こうした細かい部分まで公表されているドッグフードを購入した方が、愛犬に安心して食べさせることができるでしょう。

中には「植物性油脂」としか書かれていないフードも売られています。
この場合、飲食店や食品工場から出た廃油など、品質の劣化が心配される油が使用されている可能性もあるため、あまりおすすめできません。

まとめ
ドッグフードに利用されている植物性油脂についてご紹介しました。
味のクセや酸化への耐性、脂肪酸以外の栄養素の有無など、油によって特徴はさまざまです。
個性豊かな植物性油脂の特徴を知り、ワンちゃんの体調や好みに合わせて使い分けてあげたいですね。